『社員の目線でも経営を考える』 (社長だけが得していると社員に思われないように心がける)
中小企業の社員の給与の目安は年齢の15倍が目安
地方公務員の平均給与は、42歳位で月給が42万円、賞与が男女差がなく夏、冬ともに82万円位、年間給与総額は680万円位です。
年齢の15.8倍です。
『日本で一番大切にしたい会社』の著者である坂本光司元法政大学教授は、
「中小企業の社員の給与の目安は年齢の15倍が目安です。30歳で450万円、40歳で600万円、社長の報酬の目安は、社員の平均給与の5倍以内、自分の役員報酬を上げたければ社員の平均給与を上げなさい」
と言っています。
社員の目線から見るととてもわかりやすい指標ではないでしょうか。
社員の目線から見て中小企業の給料の締日と支払日、賞与の支払日が気になっています。
公務員の給与の支払日と、賞与の支払日をご存じでしょうか。
公務員は20日締の25日払い、賞与は6月30日と12月10日です。去年の12月は10日が土曜だったので、9日の金曜に支払われました。
当月分を当月中に払える会社に
テレビ等のマスコミは総理大臣や最高裁判事の賞与を大々的に公表するとともに東京の新橋のサラリーマンに賞与の使い途をインタビューしていました。
すなわち、大企業は公務員と同じ日に給与、賞与が支払われています。
中小企業はどうでしょうか。
決算書の署名、押印時に給与の締日と支払日をチェックしていますが、多くの会社が月末締の翌月10日払、15日払、25日払があります。
また25日締の翌月5日払の会社があります。
中小企業は設立してから10年、20年以内の会社が多く、設立した時は資金がないものですから、月末の入金後に給与が支払われるのはしかたがないと思います。
しかし、設立してから10年以上経過している会社は財務体質を強化して当月分を当月中に払える会社にしたら社員はとっても喜んでくれると思います。
社員にとって一番お金が出ていくのが月末です。ローンの返済、家賃は月末までに翌月分を払う前払いです。
よく残業代の計算ができないから翌月払いになるという話を聞きますが、私達、古田土会計は残業代は翌月に支払うため、20日締の25日払いです。
お客様のなかには、月末締の当月25日払いの会社もあります。
社員の目線で見ると当月に払ってくれる会社と翌月に支払ってくれる会社ではどちらが自分達のことを大切にしてくれると思ってくれるでしょうか。
また採用時の条件で翌月の15日とか20日に支払われる会社と当月に支払われる会社で応募者はどちらを選ぶでしょうか。
資金繰上苦しい会社は今すぐには無理でもやがて社員のために当月払える会社になって下さい。
得をして、徳を失っている
私は以前(株)タニサケの松岡会長(タニサケは去年日本で一番大切にしたい会社大賞で特別賞を受賞)より「経営者は損をするくらいがちょうどよい」と教わりました。
中小企業の経営者の中には、社長だけが得しているケースがいっぱい見受けられます。
個人的な飲食、ゴルフ、車、別荘等いろいろあります。
働いていない親族に対する高額な報酬(低額な報酬は役員であれば認められます)もあります。
この他に社員の目線から見て気になるのが、社長の日当と宿泊費です。
一日当たり、30,000円以上とか宿泊代が定額で50,000円とかがあります。社員との差がありすぎると社員は社長のことをどう見ているでしょうか。
日当については、税務調査で高額なものは否認されたり、指導を受けています。
指導を受けるということは見直すことを約束したということです。
私の数多い経験から調査官とのやりとりで日額5,000円が世間の平均、平均ですから最高15,000円くらいが限度と思っています。
日当は主に食事代なので30,000円を超えるとは思えません。
宿泊代を定額にして、定額より安いホテル等を利用して得をしている社長もいます。
私は得をして、徳を失っていると思います。
社員は知っています。
社長は自分の行為が常に見られていると思ったほうがよいと思います。
社員は社長を尊敬し、自慢したいのです。
ですから、松岡会長の言われるように、社員から見て、社長は損をしていると思われるようなお金のもらいかた、使い方をしてはどうでしょうか。
私の日当は10,000円宿泊代は実費(領収書添付)精算、社員との食事では、私が全部払っても領収書はもらわないように心がけています。
古田圡 満